
花と時計
第7章 初恋の君
喫茶店をはじめとしたたくさんの店が並ぶ、駅周辺の通りを歩く。
夏休みだからか、若い人たちや家族連れの姿が多く見られ、とても賑やかだ。
さて、どこのお店に入ろうかな。
あっちにもこっちにもお洒落なカフェがあって、目移りする。
その時、通りすがりの人と肩がぶつかった。
肩に提げていたバッグが落ちて、中身が道路に散乱する。
あわてて広い集める私を、人の流れが避けていく。
最悪だ。
私らしくないこと、しなければよかった。
「大丈夫ですか?」
後悔する私に声をかけてきたのは、若い男の人だった。
「あ、ありがとうございます」
いえ、と言いながら、彼はしゃがんで、私の勉強セットを拾ってくれる。
ノートを拾ったところで、彼の手が止まった。
「よりこ?」
