
花と時計
第7章 初恋の君
「しっ、失礼しました!」
私は机に両手をついて、深々と頭を下げた。
「私、その、現瀬くんがその子とお付き合いしたんだって思って、わ、私がお邪魔したらいやだなって思って、それで、勝手に避けるようなことをしてしまいました。
ごめんなさい!」
「そんな謝んなよ。
過ぎたことだし。
……まあ、その時はちょっと気にしたけど」
あぁ、やっぱり。
おずおずと顔をあげた私に、現瀬くんは、にっと歯をみせて笑った。
「でも、今、分かったからスッキリした。
ありがとう」
「こ、こちらこそ?」
自信のない返事をした私を、現瀬くんは明るく笑ってくれた。
「そうだ、よりこ」
と、何かを思い出した彼は、リュックの中をあさり、横長の封筒を取り出した。
「これ、興味ない?」
封筒から出されたのは、ここから少し遠くにあるテーマパークのペアチケットだった。
