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「恭次、くん」


彼は足を止めて、私を振り返る。
私は頭を下げた。

「昼間はごめんなさい」

頭をあげても、彼の顔は見られず、私は恭次くんのスニーカーを見つめながら、気持ちを伝えた。

「心配してくれてありがとう。
だけど、私は、先輩のことを放っておけないから……」

放っておけない。
自分の口から出た言葉で、私は嫌になった。

拒絶されても、なお、私は自分勝手だ。

「そっか」

私の言葉を聞いていた彼は、短くそう言った。
私が顔をあげると、彼は困ったように頭をかく。

「俺もごめん。
なんつーか、その……」

言い淀んで、言葉を探している。

「よりこは、さ」

そうして、口を開く。


「その先輩じゃなきゃダメ？」