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堕ちる

第1章 1

それもリビングで、親のいる前で──などということはなく、恐らく江藤さんの部屋で勉強するのだろう。

個室で、江藤さんと二人きり──

そんな恐怖に、自分が耐えられるとは思えなかった。

だがそう思う一方で、江藤さんに握られた手の感触が、振り払うにはもったいないと、そう感じさせる。

女の人に触れられるのは、こんなにも気持ちがいいのかと思った。

「着いたよ」

どれほど歩いていたのか? 江藤さんの声で我に返ると、僕はごくありふれた、一戸建ての住宅の前に立っていた。

江藤さんが門をくぐり、玄関の扉の鍵を開ける。

施錠されていたということは、家の中には誰もいない。

きっと両親は共働きなのだろう。

果たして何時に帰ってくるのか?

兄弟姉妹はいないのか?

「なにやってんの? ほら入って……」

どの場合に於いても、自分がどうなるのかわかったものではなかったが、とにかく考えていると、玄関の扉を開けた江藤さんが手招きして言った。

もう手を引かれていないが、僕は逆らうことができなかった。

考えてみると、同級生の自宅に招待されたのは小学生のとき以来だ。

江藤さんは、僕のことを友達と言った。

僕はこれまで、江藤さんのことを関わりたくない人物と定めてきたが、本当はそんなことを思えるほど、彼女のことを知っているわけではないのだ。

苦手な一面は確かにある。

だがそれ以上に、気の合う部分があるのかもしれない。

そう思うと、どこか高揚した気持ちにもなった。

「あの、じゃあ、お邪魔します」

玄関からまっすぐに延びる、薄暗い廊下。

その途中に、二階へ続く階段が設置されている。

江藤さんが僕に先んじて、その階段を登りはじめた。

僕の目の前に、江藤さんのお尻があるという格好になった。

短いスカートの裾が、ひらひらと揺れている。

白く、肉つきのいい太ももが躍動する。

少し屈めば──或いはもう一段差があれば、パンティが覗けそうだった。

僕は思わず息を飲んだ。

覗きたいという衝動はある。

万が一バレたとしても、事故を装うことも可能だ。

だが、僕の理性は、そうすることを許さなかった。

学校でも無防備に足を開き、スカートの中を覗かせている女子をよく見かける。

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