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ほんとのうた(仮題)

第5章 騒々しい景色の中で

 ピチピチの素足を惜しげもなくムキ出しにしているショートデニムは、ボタンが外され切れ込むように下腹部付近までが開けている。

 それがヘソ出しの黒のタンクトップと相まって、くびれから腰への魅惑的なラインをこれでもかとばかりに強調した。

 それに加え、果たしてどこで見つけてきたものか。来る時にしてたのとは違う、ひと昔前のハリウッドセレブっぽいサングラスが、その小顔の半分を覆っていた。

 結びを解かれた髪は自然でありながら妙に艶やかに、肩口に絡みつくように流れ、吹きつけた風にしっとりと靡く。

 スパンコールを散らかした如き、無駄に煌びやかで派手なジャケットを肩から羽織り。ほど高い厚底のサンダルは、俺との目線の位置を揃えるまでにその長い脚を際立てていた。

 それらの“武装”でその身を固めた彼女は、いつの間にか真っ赤に染め上げた唇で――言う。

「ユウジ――この人たち、なんなの?」

 それと同時に俺の肩に手を乗せ、身体をピタリと密着させてきた。

 俺の傍には今、真が居る。

「……」

 当の俺はポカンと口を半開きにして、すっかりと言葉を失ってしまっている。が――

「ええっ……?」

「な、なに……?」

 その際の驚きとしては太田や亜樹の方が、少しだけ大きかったようだ。

 変身した今の真の姿は、ファッショナブルというのではなくて、どこかギラギラとして禍々しいもの。強烈な自己主張の塊を体現するかの意図は、ある意味で『イタいヤツ』と紙一重にすら思われた。

 しかしそれ故に尚更、その存在はあまりにも圧倒的である。登場した一瞬を以ってこの場を掌握すると、容赦ないまでの魅力をその周囲にまき散らして止まない。

 コイツ……余計なこと、しやがって。

 俺は真の想いを、なんとなく察した。

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