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ほんとのうた(仮題)

第7章 二人の時間(とき)に


 すると、真は――

「このスケベ――やっぱり、私の裸が見たいんでしょ」

「悪いのか?」

「ま、いいけど……ね」

 と、笑った。

 今すぐにでも身体を重ねたい欲求。それに抗うようにベッドについた手足は、まだ若干の空間を真との間に保った。

 その力を抜き覆い被さってしまうのは、物理の理を説くまでもなく造作もないこと。

 しかし未だそうせずに、戯言を携え真と見つめ合ってしまったのは、既に迷いではなくなんらかの答え(言い訳)をそこに宛がいたかったから、だろうか――?

 ともかく俺も真も、どうしようもなく、また言葉を連ねようとするのだ。

「きっとさぁ――」

「ん?」

「経験豊かなオジサンの手にかかれば、私のような小娘なんて簡単に哭かされてしまうのね。もしかして、失神させられちゃうの?」

「オイ……妙な形でプレッシャーをかけるのを、やめろ」

 と、まずは真のことを窘めておいて――。

「悪いが、当方ちょっとばかり腰痛を患っている始末でな。激しい行為をお望みら、期待に添える自信はない」

 俺の方もふざけ半分(残り半分は本気の懸念だが……)に、そう返していた。

 すると真は、更に面白がって、その口調をも変える。

「まあ、それはお気の毒ですこと。それでは、ワタクシ自らがリード差し上げても、よろしくてよ」

 どこぞのお嬢様だったかな? 俺はツッコみを入れたい気分を押さえつつ、真剣な表情に反し、その戯れの趣向に乗って遊ぶ。

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