ほんとのうた(仮題)
第8章 身体を求め、精神(こころ)を探して
どんな風に触れていいものかと、戸惑う。触れていいものかと、問い直す。既に誰の許可すら必要などないのに、俺はそんな自問を己の脳裏に幾度も反射させた。
変に勿体をつけてしまった、その弊害に苛まれているのか。もちろん勿体をつけたわけではなかったが、どうせならば、もっと早くこうなっていた方が良かったと一瞬だけ思い――
いや、それはないだろ――と、打ち消した。
「……!」
すっと微かな擦れるような感触が、俺の内股の辺りをじわりと蠢く。
真は僅かに右膝を立てるようにしながら、自らの太腿を撫でるように当てつけていた。彼女の脚の艶めかしい体温とつるつるとした肌触りが、何度となく微妙な箇所をするりと行き来して、俄かに俺を擽り続けている。
「……」
そんな挑発じみた行為を始めていながら、その表情は全く変えず言葉も発しようとはしない。
それでも、それ以上の刺激を与えてこないのは、俺から行動を起こすことを望んでいるかのようだった。
ホラ――したいよう、思い通りに――して、よ?
言われた気がして、俺の内に――止めどないような昂揚が、マグマの如く湧き上りつつあった。説明のできない熱さが、身体に宿りつつあった。