無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　年甲斐もない昂揚に身を委ねるのも、それはそれで悪くはないような気もする。変に恰好をつけたり年上ぶって余裕振ったりするよりは、遥かに正しいと思える姿勢だ。

　だが一度、俺はグッと胸の熱さを抑え込んでゆく。もう一度、なにか話そうと試みたが、既にそのタイミングは逸していて、今の雰囲気を壊しかねないのだと思った。



「ん……」


　顔を近づけて、静かなキスをする。真の口から、微かな吐息が漏れた。

　重ねて啄むように。互いの熱量を探ってゆく。感情の方向を指し示すベクトルが、徐々に傾斜を増す坂道のようにぐっと跳ね上がろうとするのを感じながら、俺たちは徐々に深度を求めようとしていた。


　はぁっ……ちゅ……ん、んっ。


　濡れた唇が――艶やかに――滑る。

　普段の天真で無邪気と思える真の、その内にある欲望の塊は、きっと俺が思うよりも――もっと奥深く。

　その一端を舌のうねりとするように、俺の口の中で頻りに踊った。

　女だな――と思い。真が女であることを、気づいて認めた。今まで俺が見ようとしなかったその部分が、強烈なまでに俺の身体の中に流れ込んんで来ているかの、ようで……。

　次第にぼうっと思考が薄れると、俺は真の発した匂いに包み込まれようとしていた。そうしていることが、言いようもなく甘美だった。