ほんとのうた(仮題)
第8章 身体を求め、精神(こころ)を探して
何度目かのキスをした。目を閉じまた開くと、視線が重なる。
照れたように逃れ、すっと横に逸れて小さな耳たぶを含む。ピアスをしていない微かな窪みを唇で触れ、見つけた。
髪を撫でる。艶やかに滑らせると、ふわっとした香りを散らし、たおやかに指の間をすり抜けていった。
首筋は、そっと。舌先は流れ行くように頂を昇り、既に硬直しきった乳首に届き――刹那。
んんっ……!
として、身体が硬直し、俺の頭を抱き留め、更にその施しを求めたように。
唇にて挟む。指先で摘まむ。左右のそれらを等しく、じわりとした微かな力を込めた。くっきりと際立った突起は、多くの神経を通わせたかのように過敏だ。
口の中――ゆっくり回した舌で、その周囲を掠るように――真の乳首を舐めた。
「やあっ――ダメ!」
ピクッと腹筋をうねらせ、口から離れた胸がぷるんと弾んだ。
「ダメなのか?」
と、訊ね。
「い、意地悪……この、中年……」
そう言った恨めしそうな顔に、音もなく笑った。
少し反り返ったその身体に浮くあばらの、その数を確かめるようにして――右手を。
次に絞られたくびれを伝い、へその辺りまでを撫でる。
暫く掌を置き、一定のリズムで奏でられる真の呼吸を感じた。