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ほんとのうた(仮題)

第8章 身体を求め、精神(こころ)を探して


 強いのではなく、心地よい加減。

 互いに上体を起こし、全身を絡め合うと――目を合わせた。

 肌の表層を等しく撫ぜられるような、快感が奔る。

 それに大いに責められ、余裕を失った顔を――爛々とした瞳が、見つめていた。

 そして、俺の揺れゆく視界の中で――


 ――――?


 俺を押し倒さんばかりに、真が怪しげに、笑った。

 その時の笑みに――


「どう――?」


 と、訊ねられ。


「なにが――だよ?」


 と――こちらは、ゆとりのない笑みを携えつつも、そう惚けた。

 この後に及んで、言葉で意識を探ろうとする貪欲さに、やや呆れる。交わった感触を問われているのなら、表情を初めとする俺の反応を見れば十分過ぎるくらいわかってるはずだ。

 その間にも、艶めかしい温度と、俄かに捩じり上げるような圧迫が、じわりと俺を責める。


「私――いい?」

「まあ……悪くはないさ」

「そ――」


 くすり――と、今度は悪戯っぽく、笑み。

 俺の右の頬をさわっと撫でた右手。それが引き寄せるように、三日月の如き唇が迫った。

 触れて、押し込まれるような――キス。

 真に身体を密着され、背が倒れそうに傾く。応戦に精一杯な左腕を残し、ベッドに右手を着くと押し倒されまいと、重さを支えた。

 寝てしまった方が楽には違いあるまい。が、それでは押し寄せる快感に屈するのだろうと予感し、それが嫌でなんとか耐える。

 激しいキスは、まるで――天井から降り注ぐかのように。

 腰に乗って交じり合わせながら――真は強く、俺の頭を抱き寄せていった。

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