ほんとのうた(仮題)
第8章 身体を求め、精神(こころ)を探して
たおやな髪が乱れて、俺の肩口までを――包む。
「はあ、んっ――ああっ!」
やがて繰り返す激しい律動に、自ら声を上げゆく――真。
髪を跳ねあげるようにして首を反らすと、更に大きな間隔を利して、強く深くと腰をぶつけた。
「うっ、ぉ……!」
と、期せずして、俺も声を漏らす。
衝撃で揺れ返した乳房が、時折――たぷたぷと心地よく肌を叩いている。
最早、真の一切の欲望に、箍(たが)はなかった。
「ま、真――ちょっと、待てっ!」
「いやっ――待って、あげないっ!」
そう言って頻りに跳ねながら、小悪魔が微笑む。
「――いいからっ!」
と、魅惑的な肢体を、両腕で抱き留めた。
顔と顔が、目前に。はあ、はあ――とした、互いの息遣いにまみえる。
「イキそう? いいよ――いつでも」
真に、言われた。
その瞬間までも吸い着くような粘膜の収縮は、今にも高鳴りゆく劣情を搾り取りかねない……。
「バーカ。そういうわけに、いくかよって」
快感の波になんとか耐えながらも、俺は強がりにも似た言葉を吐いた。
真は、少し呆れたように――ふっ、と――ため息を吐く。
「ホント――楽には生きられない人だねー」
「中年ってのは、因果な生き物だから、な」
「そんな大人――今時、いないと思うの。オジサンはきっと、絶滅危惧種だよ。フフ――私が優しく保護して、あげる」
「それは、余計な――お世話だよっ!」
「あん……!」
全身に力を込め、交わったままの箇所を起点とするように、前のめりに倒れ込む。