ほんとのうた(仮題)
第10章 想い、知らされて
※ ※
その夜に辿り着いていた、適当なホテルの一室にて――。
俺はなにをするでもなく寝そべりながら、隣のベッドで胡坐をかきテレビを観ている真に訊ねた。
「真――明日、行きたいところないか?」
「行きたいところ? どうかしたの、急にさ」
「いや、別に……」
向けられていた視線から咄嗟に逃れると、俺はなるべく意図を誤魔化すように話す。
「ただ、行き当たりばったりも、そろそろ飽きたんじゃないかって、そう思ったんだよ」
「ふーん……」
真は唸るように、その身を反らすと天井を仰いだ。
「なくもない、けど」
「けど――なんだよ?」
「私の行きたいところに行ったら、その後この旅は――どうなるの?」
「……」
不意にそんな風に問われ、俺は即座に返事をすることができなかった。
この日の別行動にしてもそうだが、真は真なりに、ある程度の違和感を覚えつつあるのだろう。
そして、その直感は正しく。この旅は、その後に終わりを迎える。
だとするなら、変に誤魔化す必要などないのではないか。というか、俺はむしろそれを真に告げなければならなかった。
「まあ……いつまでも続けるわけには、いかないからな」
「お金、なくなちゃう?」
「それもあるが――どの道、帰る時は来るって意味」
「帰るって、オジサンのアパート?」
「ああ、そうだよ」
――俺は、な。と、そこまでは告げないが。