ほんとのうた(仮題)
第10章 想い、知らされて
行きたい場所に連れて行こうだなんて、それすら俺の勝手な押しつけなのかもしれない。真はまだなにも知らされずに、只、確実になにかを感じ始めていた。
三日と言う期限を切った俺自身が、この有様である。具体的にどんな様かと言えば、真が俺の傍に居なくなること――その寂しさを想像することから、逃げ出している始末なのだ。
今は単に大人としての義務感に乗じ、すべきことを粛々とこなそうとして自らを急き立てている。だから面倒なことでも、目を瞑らずにできるのだと思われ。
それを科す間は、余計な感情に左右されることもないのだ。
だが、真の場合は違った。突然、俺に突き放された後、彼女の中にどんな想いが渦巻くものか、それを考えれば大いに憂鬱にもなる。
いや、それこそ、俺の自惚れであるのかもしれないが……。
俺と真は本来なら、共にあるはずのない二人である。そう表してしまうから、変に思い違いが生じてしまう。そう、俺たち二人が、特別なのではなくて。
その存在が世間を賑わすほどに、特別に尽きるのは言うまでもなく――真、一人だった。
だから、初めから、俺はこの物語の終末の在り方を知っている。わかっていた。わかりきっていたのだ。
真が去ってゆく、その後ろ姿を――俺は見送るより他は、ない。