ほんとのうた(仮題)
第3章 異常なる日常で
俺は呆れ顔をしながら、言った。
「ああ、ハイハイ。そんなお世辞言って、一体なにが目的なのかな?」
「お世辞とかじゃないよ。思ったから、言っただけ。それが悪いの?」
真はぷっとその頬を膨らませ、また話を続けてゆく。
「私だって、さ。いくら困ったからって、誰ソレかまわずに着いていったりしないよ。人を見る目だけは、しっかりしてるつもりなんだ」
そうかぁ? 昨夜のあの感じだと、飯さえ食わせてもらえるなら、たとえ相手が悪魔であっても関係なさそうだったが……。
「その点、オジサンは……なんていうか、パッと見の清潔感もあったし。ちょっと斜に構えてるキライはあるけども、なんだかんだで面倒見もいいよね」
悪かったね、斜に構えてて……。
内心で悪態をつきながらも、ちょっと胸の辺りはムズムズしてる。そんな感じで話を耳にしてる俺に、更に真はこんなことを聞いた。
「そう言えば、歳はいくつだっけ?」
「あ? ――もう四十だよ」
俺が面倒そうに答えると、真はパッと瞳を輝かせた。
「ホント? もっと全然、若く見えるよね」
「へえ……じゃあ、どのくらいに思ってた?」
ベタなことは承知で、一応そう訊ねてみるだが……。
「えっと……三十六……いや、七とかぁ?」
「……」