ほんとのうた(仮題)
第4章 重ね合うもの
「オ、オイ……」
「いいんだよ。オジサンは楽にしてて」
「は?」
「これは、私が勝手にしてること。だったら、オジサンが気にする必要なんて、ないんじゃない?」
「そ、そういう問題じゃねーよ」
「でも今は、オジサンは動けないの。だから、私にされるままになったとしても――それは、仕方がないことだって思うよ」
「……?」
俺は思わずタオルで縛られた手足を見る。その形だけの不自由を言い訳にして、彼女の行為に身を委ねろと、真はそう言っているようだ。
真には決して手を出さない――俺はそう、この心に誓ったはず。しかし、この場合手を出してるのは、真の方であって……。
俺を一心に見つめる顔。その先のTシャツの無防備な襟首から、たわわな胸の谷間がまるで“プルン”とベタな擬音を奏でんばかり――。
そんなものを目にして、俺の決心が著しく鈍った。
「あら――!」
「ま、真……お前っ、そこは……」
「アハハ、ホントだぁ。ちゃんと反応して――」
ガタッ、ガタン!
「バカヤロウ!!」
ちゃぶ台をひっくり返す勢いで立ち上がった俺は、渾身の大声で真のことを怒鳴りつけた。