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不器用同士

第49章 死への恐怖

聖がボソッと言った

「は?」
「穢されても洗い流せば元の響に戻る」
「んな訳ねーよ!!たとえ聖が許せたとしても俺が許せねーよ!!」
「『俺』か…昔に戻ったな…だけど響の『俺』に俺は助けられたぞ?」
「…どういう意味だよ」
「100%女じゃなかったから少しずつ女を克服できた。お前もそうだろ?自分の一人称を『俺』にして、自分が男になりきれば男を克服できると思ったんじゃねーの?」
「…そうだとしても俺は許せない」
「俺は許してる。早く治せよ」
「っ…意味わかんねーよ…何で…」
「まだ好きだから」
「っっ!?」
「俺はキスされたとしても響の事が好きだ」
「…俺は好きだから許せない」
「響が好きなら俺は許せる。だから…だからっ…死なないでくれっ…」

聖は泣くのを我慢してたのか…
てか響の事昔からめっちゃ見てるじゃん…
気づいてないのか…w

「…死ねないね…『私』は」
「ああ。死なせない」
「ほら、寝て治すから早く出てって。早くー」
「は!?」
「出てけー!」
「聖、行くぞw」
「何でだよ!」
「まあまあw」
「引っ張るな!!」

俺は何とかして聖を病室から出した

「本当にお前ら不器用だな」
「は?」
「響をちゃんと泣かせてやれよ」
「は?」
「あいつ泣きたかっただけだぞ?」
「余計ダメじゃねーか!!」
「悪い方じゃねーよw」
「意味わかんねー…」
「あと、昔からめっちゃ響の事見てるんだなw」
「は?」
「男克服したいから一人称を変えたのを何で知ってるのかなーと思ってさw」
「…まさか…な…」
「一目惚れだったりして」
「そ、そんな訳ねーよ…だって俺女苦手だったし…」
「響の一人称に助けられたんだろ?」
「…」
「はい一目惚れ。認めろ」
「認めたくねー…初めて好きになった女が昔一目惚れしてたとか…」
「え!?その顔でいなかったのか!?」
「は?」
「聖さんは…イケメンの域に入りますよ…姉さん…」
「奏也いたのか」
「それ酷くないですか!?」
「俺はお前を恨み続けるからな…阿部より深い憎しみを…」
「え、俺!?」
「どうせ抜いたんだろ!?」
「…いやそんな事は…」
「響の声で抜きやがって!!」
「俺用事あるから帰るわ!!」
「言い訳下手だな!!」

そんな事をしながらこの事件の幕は閉じた

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