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サムライダー

第3章 それから…

(ここは言うとおりにしとこう)



そう思い部屋の奥にあるドアをあけて廊下にあがると近くでお湯の出る音が聞こえてくる。



洗面所のほうから水の音がするようだ。そこへ行くとサムライがお風呂のバスタブにお湯をためてる最中だった。


「な、な〜に?」



なんだかわからずに聞いてみた。



「お前汗くさいからな」



…………、そんなにくさいのかわたしは……。



「あとな」



「なっなに!?」



よくこのイカツいヤツにはおどかされるなあ…。



「風呂の前に廊下の汚れ拭いとけよ」



そうわたしに言うと廊下のドアに向かおうとサムライは歩いてく。



……ああそういうことね…って…。いや…



「ちょっと待って…」



「ああ!?」



サムライが思わぬ声にビクッと反応したらしくわたしのいるほうに振り返る。



「そ、掃除したことない……」



今の今まで聞いたことのないセリフを耳にしたのかもしれない。今度はサムライの表情が冷凍庫の氷のように固まった。



「…マジかよ、ったくよお」


そう言いながらもサムライはわたしに雑巾の使い方を教えてくれた。あと初めて使うお風呂場なのでお湯の扱い方なども。というのも



「オレは出かける。来るまでシャッターあけんなよ」



(わざわざ言わなくとも)



と思ったけど。たしかに家を一歩出てすぐが車道ぎわの場所では、開けっ放しになんかしてたら通行人などの見せ物になりかねないし。もしからまれでもしたらぶっそうなことにもならないともかぎらない。



「…うん、わかった」



と素直に返事をすることにした。サムライはシャッターをあげてから出かけていった。わたしも少しだけこの場所に慣れてきたのでシャッターをおろした。



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