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サムライダー

第1章 グチ

この一言で騒がしかった教室がほんの一瞬だけだが静まりかえったし、オレのまわりにいた2人の動きも固まった。



「オマエにこくはくするオンナあ!?」



「ホンマかいな…」



「このツラで…」「マブかよ…」


クラスには30人いるからほかのヤツらにも聞こえてたろうな。話し声は意外とよく聞こえるもんだし、予想だにしないセリフに振り向いたのが何人かいた。



「この世の終わりだあ!!」



…オマイも沢村みたいな傷負わせたくなるな。そのぐらいムカついたがまた足の傷開くしでなんとかこらえた。


ちなみにバカ作者が忘れてやがったんだが、決闘の時にオレは焦げ茶色の革の胸当てつき武装スーツを着て牛の角つけたハーフメットに顔にはガスマスクを装着してた。背中にはマタギみたいなゴワゴワな黒い毛皮のマントを羽織ってた。



だからミオの目には特撮のキャラみたいにオレが映ったのかもしれねえ。決闘時は朝の5時ごろで霧があったから迫力もなおさらだったろうしな。



沢村も武将がかつて鎧装束に用いてた「しころ」と呼ばれる(後頭部を守るために4枚の鉄板を溶接してある)ものを兜(カブト)に見立てたヘルメットに、あげくのはてには眉間の上あたりに雷みたいなギザギザ形のゴールドの板をトレードマークにしてた。手足には脛あてや肘あてなどのプロテクターをいくつもつけてるし黒い革製のイカついヤツが着てるようなライダースーツだった。



「…オマエそのコかっさらってね?」



…んなわけねえだろ。だいいち



「沢村の友人が何人かいたし、そんななかでどうやってだよ、ああ?」



「そうか、そしたらオマエ間違いなく連れ去りだしな」



……この当時は人をさらわれたのを誘拐(ゆうかい)と呼ばれてたっけな。



「アホか!!傷痛くてできっかよ!」



「オレもう死にてえよ」



「オレもオレも…」



勝手に死ね、ったくよお。……そういやアイツ沢村の世話になったとか言ってたけどな。まだ手紙届かねえからどんな訳だかわかんねえな。



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