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触って、七瀬。ー青い冬ー

第15章 指先の快楽





「10年前からずっと探してた

月の光、聞いたときに確信した

お前があの子だって

でもそんなこと今はどうでもいい

お前があの子じゃなかったとしても
関係ない

今はただ、お前をめちゃくちゃに犯して
縛って泣かせていかせて、お前の体に俺だけのものだって教え込ませたい

それだけ」


「へえ、それはありがたいですね」


「でもそれは、お前がお前じゃなきゃ意味がない

他の誰かが俺の言いなりになって
泣いて縛られていきまくっても
興奮もしないし勃ちもしないし
むしろそんなのは見たくない

でも七瀬は七瀬だから
俺は興奮するし七瀬が泣くから
もっといじめたくなる

だから
七瀬じゃなきゃ意味ねぇってこと

また回りくどいこと言ったかな

わかんねぇけど」


七瀬はどんどん顔を赤くした

俺もきっとそうだ

だからそれ以上何も言わなくたっていい


七瀬にキスをした

教えてやろう

どれほど愛してるか


「…大人しく縛られてろよバーカ」

「バカはそっちだよ変態」

「変態はお前だろ」

「いーから早く終わらせろや遅漏」

「あっは…」


高梨が嬉しそうに笑った


「それじゃ、いってばっかじゃなくて
俺を早くいかせてくれよ

“とても敏感”な夕紀君?」

七瀬はぐ、と痛いところをつかれたみたいに唸った


《お前はいろんなことに“敏感”だから》


まだ会って間もない秋の日の七瀬が、
敏感って言葉に反応していた。

「気づいてた、の」

七瀬はさぞかし恥ずかしいだろう

俺は嘲笑ってやった

「あーいやらしい」


「くっそ…」





パラ、パラ

革の束が肌を撫でていた

目隠しされていて肌が警戒している

それは多分普通の恋仲で、
ノーマルな生活をしているカップルなんかにはお目にかかれない代物だろう

「夢の中みたいだよ

こうやって黒い縄巻きつけて
動けなくして叩いて…

これ以上美味そうな奴はいない」

美味そうって、僕はこれから食べられるのか?

うん、高梨のことだからありえなくもない


乾いた革のザラザラした感覚はやはり好ましくない

それほど痛いわけじゃないだろうが、
そこそこの痛覚は刺激してくれるムチのようなものだ

「ほんと、いい趣味だね…」

理解はしていたつもりだったけど
やっぱりわかんないや





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