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触って、七瀬。ー青い冬ー

第3章 男子高校生の性事情


『お前は何がしたいんだよ。
自分への言い訳がしたいなら、
僕のいないところでやれよ』

僕は立ち上がった。ボタンが開いていても、もう構わないと思った。
寒さももう、どうでもいい。

香田は最低だった。
謝らなければ、まだましな奴だと思っただろう。
しかし、こいつは謝った。

それは、自分のことしか考えていないからだ。謝ることで自分を許そうとしているのだ。自分は謝ったという事実を作りたかっただけだ。

『七瀬』

『お前は最低のクズだ。
もう何も言わなくていい。
許してやるよ。許せばお前は満足か』

僕は心にもないことを言った。
許すつもりはさらさらない。
しかし、あいつがそれで満足して、もう僕に危害を加えないというなら、それでいい。これ以上、無駄な涙を流すことはなくなる。

僕は橋の下から歩き出した。
これで終わりだといいな、と思った。

橋の上を、トラックが走っていった。
月は見えなかった。



『…』

香田が流した涙を、誰も知ることはなかった。



……


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