テキストサイズ

触って、七瀬。ー青い冬ー

第23章 舞姫の玉章


「何がわかったのかなぁ七瀬君」

「あれだ、新しい彼女でも見つけた?」

「……」

高梨は黙り、真顔で僕を見た
否定されないので、反応がもっと見たくて
動揺させてやろうと思って

「ああー図星です?なんでわかったかって、
まず無駄に優しい感じの口調だし笑顔だし
幸せですオーラがすごいから!あと香水の匂いが前よりキツくない、ていうかほとんどわかんないから!ホストやめて安定した仕事についてしっかり家庭でも作っちゃうかんじですかぁー!
あ、あれも嘘か、実はまだ学校もホストもバリバリですって?まあそれならそれで安心したけど!
ま、そうだよね、あなたモテモテって感じですし、
僕と違って要領がいいから色々人生スムーズでしょ。あーやられたなー、君ねえ、冗談にもいいのと悪いのがあるでしょう。学校辞めるとか、さすがに笑えないから良くないよ。信じた方の身にもなってくれないとさ。いや、それはいいよもう、真面目に信じた僕がバカだった!今までもそう、君っていつも余裕で僕のこと弄ぶからぁ。いいねー楽しそう!
でも僕には無理だな、人に思わせぶりな態度とって突然突き放したりしてから本当は興味ないからって言って、でも気が向いたら相手してやるからーみたいな振る舞いは!でも君の場合は、それでいいんだろうね、ああ!そういうお仕事だもんね!仕方ないかあ!あー!いいなぁー!女の子に囲まれて!お金もらって!お酒飲んで!?ああー、人生勝ち組〜ってえ!言ってみたいわぁー!
知ってる?僕みたいなフツーの人間は、出来ないんだわそういうの。人と戯れてウェイみたいな?
よくわからないわそのノリが。ずーっと、高梨みたいなキラッキラした人種がどんなに軽やかな人生かなあって想像してるだけで疲れてきちゃうんだよね、なぜなら人と関わるのがイヤだから!特に高梨みたいな人が受け入れられないから!ずかずか人のパーソナルゾーンに入って肩組んじゃうタイプの、人たらしで親切な陽キャで、実はめちゃくちゃ苦労してきて努力もしてーって。なにそれ、完璧じゃん。うっざ、その上僕を密室から助け出して、え?何、あなたスパイダーマン 的なそういうヒーロー?
もう、わかんないわわかんない完璧すぎて吐き気するもん、無理だよ。住む世界が違うってより、多分生まれてくる必要性の問題だよ、あなたは社会完全適合者で僕はその逆だから。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ