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触って、七瀬。ー青い冬ー

第23章 舞姫の玉章

だって僕、人と話すのが苦痛なんだよ!
あなたが教えてくれたけど、僕多分過敏なのいろんなことに。それでもう、ああー、今日の会話であの返答はない、嫌われただろうなーとか思うことあるでしょ?僕はねそれをね毎秒やってんだ。はい、とかうん、って言うのすら怖いんだ。人が周りにいると身動ぎもできないくらいに人目が怖い!水を飲むためにバッグに触るのも、怖い、動けないし音を立てたら見られるかもしれないとか思って教室で水なんか絶対飲まないしマスクも外せないしトイレに行くために席を立って椅子の音を立てるのも無理!
それが授業で当てられたりなんかしたら静まり返った教室で声を。声を発さなきゃいけないんだよ
ああ読み間違えたらどうしよう、チョーク落としたらどうしよう、寝癖ついてて見られたらどうしよう、歩き方変になったらどうしよう、声裏返ったらどうしよう、みんなが僕のこと馬鹿にしてたら、どうしよう!そんなこと考えたことあるの?高梨君さんはさあ、ないだろ。自信満々で素晴らしいですね、
自信がない人は自信を持って!って言っちゃうでしょ。でも無理だよ?だって根拠のない自信なんか
持っててなんか意味あるの?確かに、誰かが褒めてくれないと自信が持てないってすんごく受動的でネガティブだよね。でも無理なんだもん、仕方ないよね。今までテストで100点とれたら褒められてたのにさ、それで自分の価値認めてもらえてたのにさ、
急に自分を無条件に愛しましょうとか、人の評価は気にするなとか、無理に決まってるよ!
…ああ、そんなこと今君に言ったって何も変わらないし君にいうことじゃなかったね。当て付けだよ、ごめんなさい。だけど一つ謝ってくれない?
僕の気持ちあなたのせいでぐちゃぐちゃになりました。死にたくなりました。苦しかったです。一瞬でもあなたのこと好きになってしまったことを後悔してます。こんなに苦しくなるなら最初から近づかなきゃよかったと思ってます。最初から君が近づいてこなきゃよかった。教会で子供の頃会ったってだけで追いかけてくれて、それは嬉しいけど
結局あなたは心変わりしたでしょ?
…浮気性だもんね、仕方ないねあなたは」

 
がく、飛行機が揺れた
乱気流。

「わ、」

怖いなあ…
落ちたら、どうしよう
それでもまあ、もういいか…


高梨は僕の顔を見つめた



    「ねぇ」

 

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