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take a breather

第20章 I seek

「アイツのおかげで、俺もまた頑張ってみようかな…って」

翔くんがポツリと呟いた

「ん?」

「ううん、なんでも…
ちょっとトイレ行って来るね」

そう言って、テーブルに手をつき立ち上がった翔くんは
立ち上がった瞬間フラッとし、ストンと尻餅をついた

「翔くん⁈」

「あれ?」

慌てて翔くんの元へ駆け寄り、体を支えた

「大丈夫か?結構、飲んでたもんな」

「え?俺、そんなに飲んだ?」

「グイグイいってたけど、自覚なし?」

「う、ん…料理が美味しいから
お酒も進んじゃってたんだね…」

「トイレ行くんだろ?立てそう?」

「大丈夫、だと思う…」

翔くんの体を支えながら一緒に立ち上がる

フラフラ感は否めないが、なんとか立てた

「じゃあ、行って来るね…」

話す言葉はハッキリしてるのになぁ…

翔くんは壁に手をつきながら歩いていく

これじゃあ、もうお開きにした方がいいかな?

あんな状態の翔くんに話しても、きっと理解して貰えない
それどころか明日には忘れてるかも…

支払いを済ませ、トイレまで翔くんを迎えに行く

トイレから出て来た翔くんが、俺を見つけて嬉しそうに笑った

「迎えに来てくれたの?」

「うん。ちょっと心配だったから」

「んふっ…優しいねぇ…智くん…」

体に力が入らないからか、全体的にふにゃふにゃしてるな

揺れながら俺に向かって歩いてくる

「ありがとぉ…」

「えっ⁉︎おいっ、大丈夫かっ⁉︎翔くん⁈」

俺の前に立つとフニャッと笑い抱きついてきた

「うん…だいじょぉぶぅ〜」

「タクシー呼んでもらったから、もう帰ろうな?」

「えぇ〜やぁだぁ…まだ智くんと飲みたいぃ〜」

ダダを捏ねながら抱きつく腕に力を込める翔くん

これは、いつ寝られてもおかしくない状態?

とにかく翔くんが動けるうちに店を出ないと…

「わかった、続きは家で飲もう?」

「えっ!智くん家⁉︎行っていいの?」

ガバッと体を離した翔くん

「いいよ、だから帰ろ?」

「うんっ!帰るっ!」

すっごい笑顔で返事をされた
無邪気な子供みたいで可愛いんですけど…

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