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take a breather

第22章 Song for me

待機場所に行くと既に雅紀が戻っていた

「翔ちゃん、どこ行ってたの?
いないから心配しちゃったよ」

雅紀に心配掛けてしまった
あれだけ時間ロスしたんだから当然か…

「ごめん…木陰の方が涼しかったから、そっちにいた」

「そうだったの?なら連絡くらい入れといてよ
暑さバテして、どこかで行き倒れてるのかと思ったよ」

「そんな訳ないだろ」

とも言い切れないか…
俺もさっき彼の事そう思ったし

「もうそろそろ交代の時間だよ?
水分摂った?」

「あっ、まだ」

ここで水分補給なしはキツい
マジで熱中症で倒れる可能性あるな

「はい、コレ」

雅紀が差し出してくれた紙コップを受け取り、スポドリを一気に流し込む

「はぁ…うまっ」

口から少し溢れたドリンクを腕で拭いとる

「カッコいい、スポーツ飲料のCMみたい」

「冗談言ってないで行くぞ」

「はいは〜い」

雅紀が小走りで俺の隣に駆け寄り、並んで会場へと向かった

「どうだった?さっきのバンド」

「良かったよ。やっぱり生の歌はいいね」

「だな。俺もそんなに好きなアーティストとかいる訳じゃないけどさ
聴いてて飽きはしないよ」

「でしょ?次はもっと楽しみだよ
やっと智が聴ける」

「あ〜『泣ける歌』な?」

「うん、そう。次の次だから、翔ちゃんも楽しみにしててよ」

「おう」

そう返事はしてみたものの
やっぱり『泣ける歌』に、そんなに興味は持てないなぁ…
女子じゃないんだから

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