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take a breather

第22章 Song for me

「じゃあ、明日からよろしく頼むよ」

智のマネージャーの国分さんから、仕事についての注意事項を聞いた

注意事項って言っても基本は智の見張りのみ
現場には国分さんも同行しているし、マネージャーとしての本当の仕事は国分さんが全てやる

俺は智に張り付いて、常にどこにいるかを国分さんに連絡すればいいだけ

「智は普段ボーッとしてるけど
いなくなる時は急だから、絶対目を離すなよ?」

「はい」

何度も念押しされて、相当やらかしてるんだろうな、と想像が付く

じゃなきゃ、社長も新人の俺を見張りに付けようなんて思わないだろうし…

「櫻井くん、車の運転大丈夫だよね?」

「はい、大丈夫です」

新卒採用条件の一つになってたから、慌てて取った
大学生活では不要な物だったからな

「じゃあ、智の送り迎えもお願いしていい?」

「え?送迎ですか?」

「そう。社用車あるから、それ使ってくれていいよ」

「は、い…」

送迎ってことは、智とふたりきりで車に乗るってこと?

あんな狭い空間で智とふたりきり…

ヤバい、緊張してきた

でもあれか…智の事だから、すぐに寝ちゃう?
何か話さなくちゃとか、気にしなくていいのか

かえって静かにしていた方が、智は喜ぶよな

国分さんとの打ち合わせが終わり、小会議室から出ると
丁度、智も社長室から出て来た所だった

「社長との話終わった?」

国分さんが智に声を掛ける

「ん…終わったから、もう帰る」

「なら送るよ」

「帰りは電車で大丈夫」

「明日から、櫻井くんに迎えをお願いするから
出来れば場所の確認をさせたいんだけど」

「え?翔くんが来てくれるの?」

こちらを向いて訊ねてきた

「はい、不束者ですが、よろしくお願いします」

「ふふっ…不束者って、翔くん真面目〜
俺、そんな難しい言葉使い出来ないから
もっと気楽に話してよ」

またもフニャッとした笑顔で見られ、ドキッとする

この笑顔、最強…

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