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take a breather

第3章 このままもっと

水を飲んで暫くするとニノの顔が赤からピンクに変わった。

「もう大丈夫そうだね」

「お騒がせしました」

「いや、今日は俺の方がお騒がせしたから…」

店での出来事は人生初…
智くん以外の人の前で大泣きしてしまった。

「あれは俺らが泣かしたようなもんだからな。
それにお前らが上手くまとまって良かったよ」

「これで拗らせたら死ぬまで大野さんに恨まれることになってたからね。
俺たちも内心ヒヤヒヤしてた」

「ごめん…俺がもっと素直に自分の気持ちと向き合えてたら、ふたりの手を煩わせることなかったのに…
智くんにもふたりにもほんと申し訳ない」

3人に向かって頭を下げた。

「頭なんて下げんなよ。
それよりもふたりの前途を祝して乾杯しようぜ?
翔、殆ど飲んでなかっただろ」

「うん、まぁ…」

その前のふたりのこともあったし、飲むどころじゃなかった。

「じゃあ、飲みますか。翔くん、はい」

そう言って智くんが缶ビールを自分の横の席に置いた。

「ありがと」

ニノの前にしゃがみこんでいた俺は智くんの横に移動した。

「何さり気なく隣に誘導してんだよ」

潤が揶揄うように言うと、智くんが唇を尖らせた。

「別に誘導なんかしてねぇよ。
空いてる席がここだっただけだろ?」

「あっそ…まぁそういうことにしておいてやるよ。
まだ幸せ噛みしめ足りてないだろうしな」

「そりゃあねぇ…25年分だもん。
翔ちゃん、大野さんに悪いことしてたと思うなら思いっきり甘えてあげなよ?
大野さんはそれが一番嬉しいんだから」

俺を甘やかしたいのは智くんの趣味
そして、俺が甘えられるのは智くんだけ…

ふたりがこうなることはとっくの昔に決まってたんだよね。

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