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take a breather

第22章 Song for me

今日の分のレコーディングを終え、智を車で送って行く

「今日の曲、面白い試みでしたね
コーラスも大野さんが全部やるなんて」

もはや定位置と化した助手席に座る智

そちらをチラッと伺い見ると智もこちらを見て笑った

「だろ?俺も初めてやったよ、コーラス
いつもひとりで歌ってるから、コーラスなんてやった事なくてさ
デモテープ貰ってから一所懸命練習した」

「大野さんも練習するんですね
すぐに歌えるのかと思いました」

「え〜、無理無理。メインじゃないとこなんて尚更ちゃんと練習するってぇ
昨日も言ったけど、俺、普通の人よ?
天才とかじゃないから」

「すみません。大野さんが歌ってる姿見たら全くの別人だったので、やはり天才なのかと…
国分さんも、凄い才能って仰ってましたし」

「やだなぁ、ふたりとも俺のこと買いかぶり過ぎぃ」

智が苦笑いした

「高い評価をされるのは嫌なんですか?
普通、喜ばしい事だと思うんですけど」

「う〜ん…俺の歌を聴いて喜んで貰えるのは嬉しい
でも、それを高く評価されるのはこそばゆい?
自分では凄いと思ってないし」

「そう言うものですか…
俺にはよくわかりません
周りから高い評価を受けた事が無いので」

「え〜?そぉ?翔くんなんて、見た目からして評価高いけど?
翔くん、モテるでしょ」

「俺がですか⁈イヤイヤ、それは無いですって」

「なんだ、翔くんもわかってないじゃん
俺が言ってるのもそう言う事だよ」

「?よくわかりませんけど?」

「だから、翔くんはカッコいい?可愛い?
ん〜、どちらにしてもイケメてる訳よ
でも、翔くんは自分でそう評価はしてないんでしょ?」

「してませんよっ」

カッコイイも、ましてや可愛いなんて誰かに言われた事ない
自分でそんなこと思った事もないし

「だからそう言う事だよ、俺も」

んー…なんとなくわかったような…

自分で思ってもない事を人から褒められると、こそばゆいってこと…だよな

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