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take a breather

第22章 Song for me

「だから、可愛いなんて言われた事ないですって」

「俺は初めて会った時から思ってるよ?」

初めてって…

「フェスの時?」

「そう…俺を心配してくれてる翔くんを見て、可愛い人だなって思った」

「誰だって心配しますよ
あんな所で寝ていたら」

「ははっ!確かに!」

「たまたま通り掛かったのが俺ってだけです」

「たまたまなんだろうけど、翔くんと出会うキッカケな訳じゃん」

「そうですね…あそこであんな出会い方をしていなければ
そこまで興味が湧かなかったかも…」

「俺のファンにはならなかった?」

「いえ…ファンにはなったと思います
歌は最高に良かったので…
ただ、そこで止まっていたかも…
多分ここまで追っては来なかった」

「俺の事、追ってきてくれたの?」

智の目が少し見開く

「はい…貴方の歌の側に行きたいと、この会社を受けました
まさか入社初日から貴方に付くことになるなんて、夢のようです」

「俺はね、昨日事務所で翔くんを見た時に、夢かと思ったよ?」

「俺を見て?」

「うん…俺、あの日から翔くんの事気になって、頭から離れなかったんだよね
また会えないかなぁ、とは思うんだけど
どうする事も出来ないじゃん
何の手掛かりもないんだもん

だから、このまま一生会えないで終わるんだろうな、って諦めてた所に
いきなり目の前に現れてさ
それこそ夢かと思ったよ」

智は嬉しそうな笑顔を浮かべた

「これって絶対、神様がくれたチャンスだと思った」

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