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take a breather

第22章 Song for me

「さ、着いたぞ
先ずは智のレコーディングを早く進めないと、スタッフさんたちに迷惑が掛かる」

「あの…俺は、どうすれば…」

智に会うなと言われてるのに
智のレコーディングに立ち会っていいのだろうか…

「ついてこい」

「はい…」

社長の指示なんだからいいんだよな?ついて行って

「今から収録する曲は、智が初めて書いた恋の歌なんだ
でも、3日前に智本人から歌詞を少し変えたいと言ってきたらしい」

社長の半歩後ろをついて行きながら、社長の話を聞いた

「今更歌詞の変更ですか?」

「あぁ…スタッフたちも迷ったんだが、智がそんな事を言うのも珍しいし
基本は俺からの指示で、智には自由にやらせるように言ってあったから、やらせる事にしたんだそうだ」

国分さんも言っていた
智の感性を大切にしたいから、自由にやらせてるって…

「タイトルを『Song for me』に変えて
片想いの相手を想う歌詞から、逢えない恋人を想う歌詞にした
よりリアルな心情が描かれていて、即採用する事にしたそうだ」

逢えない恋人…

「この歌を最高の物にするには
お前が必要なんじゃないかと思って、ここに連れてきた」

「いいんですか?俺…大野さんに会って…」

「いいに決まってるだろ
その為に、俺はお前を智に付けたんだから」

「え?…あの、それ…どういう意味…」

「詳しい事は後から話す
今は早く智にその姿を見せてやってくれ」

社長がスタジオの扉を開けた

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