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take a breather

第3章 このままもっと

とりあえず空いてるスペースに智くんと向かい合って入ってみた

ふたりとも脚を抱え込むように小さくなっているのが滑稽に思える
でも、今更向き変えるのも…

「…翔くん」

「ん?」

「こっちおいでよ」

智くんが脚を開いた

あそこに座れってことだよね…

「うん…」

浴槽内でくるりと向きを変え、智くんの脚の間に入った。

さっきと同じように脚を抱えて座る

「俺に寄りかかっていいから…そうすれば少し脚伸ばせるだろ?」

背中を智くんの体に預けた
結局智くんに言われるがままだな

「重くない?」

「大丈夫。それにさっきまで散々寄りかかってたじゃん」

「あ、そっか…ごめん。重かった?」

「寝られた時は流石にね…
でも、翔くんを抱いて幸せ噛み締めてたから、なんの問題もないよ」

「そっか…満足した?」

智くんの腕が俺の腹の前で組まれる

「ん〜、満足はしてない…
多分、いくら触れてても満足なんか出来ないよ…」

智くんの顎が俺の肩に乗り、ぎゅっと抱きしめられた。

「25年分なんだから25年掛かってやっと満足…でも、その間の25年分も更に25年掛かるだろ?
ってことは永遠に満足出来ないってことだよな」

「時間ってさ、取り戻せないよね
ごめんね、俺がもっと早く気付けてたら…」

「翔くんの責任じゃないから…
潤も言ってたろ?俺が悪いって
翔くんに嫌われたくないってビビってた俺が悪いんだよ」

ビビってたんじゃないよね?
智くんは優しいから…
俺を悩ませたくなかっただけなんだよね?

今日だって無理矢理考えさせようとした潤を怒った

何よりも俺のことを大切にしてくれる人…

だから伝えておくね?

「智くん…」

「ん?」

「もう、俺たち恋人だよね?」

「翔くんがいいなら…」

ほら、またそんな発言…
俺の気持ちばかり優先する

「いいに決まってるじゃん
もう智くん以外の人なんて考えられないから
だからさ、これからはお互い遠慮とか止めよ?」

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