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「遠慮？」

「うん…」

上半身を捻り智くんの方を見た。

「だって、ずっと我慢してたんでしょ？」

「それはまぁ…」

「だからね、智くんがしたいと思うようにしていいから
そのかわり、俺も智くんに甘えたい時は甘えるし
今までも十分過ぎるくらい甘えてたけど…
これからは恋人として、もっと甘える
だから智くんも…んっ！」

全てを言い切る前に、智くんの両手が俺の頬を包み、いきなりキスをされた

なんで？さっきは触れただけで照れてたのに…

上唇と下唇を啄むように繰り返されるキス

智くんのキス…気持ちいい…

「ふっ…んぅ…」

リードしなくちゃなんて思ってたのに
そんな必要全くなくて…

それどころか翻弄されてる。

酸素を取り込もうと唇を開けば、狙っていたかのように舌が入り込んできた

すぐさま俺の舌を絡めとり、吸い上げられた

何度も繰り返されるキス
苦しくて離れようとしても、また上手く舌を絡め取られる

まさか初めてのキスで、こんなに激しくされるなんて…

智くん…恋人いたことないよね？
なんでこんなに上手いの？

「ふぁっ…」

漸くキスから解放された。

「はぁ…」

智くんの手が優しく髪を撫でる

智くんに凭れたまま見上げるとこれまた優しく微笑んでいた

「…こんなの反則」

「反則？なんで？遠慮しなくていいんだろ？」

ニコッと笑い余裕しゃくしゃくなんですけど…

俺、間違った認識してたかも…
智くん自分からは動いてくれないんじゃないかって…
俺から行動を起こさなきゃいけないんじゃないかって

でも、そんな心配まったく必要なかった…

今、目の前で微笑む智くんからは、今まで見たことのない『男』を感じるから。