テキストサイズ

take a breather

第24章 むかえに行くよ

俺の隣の席は空いてなかったから、教室の一番後ろにふたりの机を並べた

「よろしくね、サトくん」

「はぁ…」

俺はショックから抜け出せず、返事もまともに返せない

「サトくん?どうしたの?具合悪い?」

顔を覗き込まれ、思わずのけ反った

「うぉっ!」

俺の顔を覗き込むショーちゃん…もとい、翔くんは、やはり可愛い顔をしている

残念ながら女子じゃねぇけどな…

「サトくん、大丈夫?」

「だっ、大丈夫!
それよりも、その『サトくん』やめない?
俺、もう高校生だし
『サトくん』なんて呼ばれると、恥ずかしいんだけど…」

「え〜、ダメェ?ずっと『サトくん』って呼んでたんだけどなぁ」

「ずっとって…もう何年も会ってないだろ?」

「会ってなくても、家族と話す時は『サトくん』って呼んでるよ?
サトくんも『ショーちゃん』って呼んだでしょ?」

ごもっとも…

でも、俺の場合は咄嗟に出たものだし
これから先は『ショーちゃん』と呼ぶつもりはない

だって、女子じゃねぇんだもん…
女子だったら『ショーちゃん』って呼んで、仲を深めても良かったけどな

「とにかく、俺はもう『ショーちゃん』って呼ばないから
そっちも『サトくん』って呼ぶのはやめてくれ」

「ぶーっ…わかったよ…
なら、智くんでいい?」

「お、おうっ、いいぞっ」

膨れた顔が可愛くて
『智くん』と呼ばれ、ほんのちょびっとだけドキッとしたのは黙っておこう

「じゃあ、智くんは『翔』って呼んでね?」

「いや、社長の息子を呼び捨て出来ねぇだろ」

「親は関係ないでしょ?」

いや…親が大きく関係してると思うけど?
じゃなきゃ、こんなキラキラ王子と俺が友達になんてなれる訳ない

ストーリーメニュー

TOPTOPへ