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take a breather

第24章 むかえに行くよ

まだ教科書が揃わないから見せて欲しいと、机をピタリと寄せてきた

今は現国の授業で、他の生徒が教科書を読み上げてるんだけど

距離…近くないか?

俺の左側にいる翔くんは、左肩に体温を感じるくらいピタリと俺に寄り添う

視力悪いのかな?

チラリとそちらを見ると、真剣な表情で教科書の文字を追っている

大きな瞳は可愛らしさを潜め、凛々しいくらいの鋭い眼差し

こんなの女子が見たら『キャーキャー』言うレベルのイケメン振りだ

翔くんが不意に視線を上げ俺を見ると『ん?』と、首を傾げた

俺が見ている事が不思議だったんだろう

その表情からは凛々しさが消え、可愛らしい物に変わる

「あ、いやっ…目、悪い?」

「目?両目とも1.5あるけど?なんで?」

「距離が近いから見えないのかと思って…」

「距離?」

「うん…俺との距離…ずっと肩が触れてるから…」

「あっ、ごめん…無意識…」

無意識って事は、常にこの距離感で人と接してるって事?

こんな間近でこんなイケメンにいられたら
女子なんてみんな惚れちまうんじゃないか?

翔くん、アメリカ帰りだしなぁ…

あちら並みにスキンシップなんてしてたら、勘違い女が続出してしまいそうだ

大丈夫なのかな…忠告しておいた方がいい?

そんな心配事をしていたら

「智くんに会えて嬉しくて、無意識に近づいちゃってた」

テヘペロみたいな表情を見せる

可愛いよ?可愛いんだけどさ…

そんなセリフをサラッと言ってしまうなんて…
間違いなく勘違い女、続出決定だな

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