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take a breather

第24章 むかえに行くよ

授業終わりを告げるチャイムが鳴り
早速忠告をしようと体を翔くんの方に向ける…が

「櫻井くん、学校の中、案内してあげる」
「えー、私も案内しようと思ってたのにぃ」
「私もっ私もっ」

話をする間も無く、数人の女子たちが翔くんの机の周りを囲った

出遅れた…

これで何人の勘違い女子が誕生してしまうのだろう…
いや、その前にバトルが勃発しない事を願う

「ごめんね、気持ちだけいただいておく」

「「えっ⁈」」

翔くんの言葉に女子たちから疑問の声が上がる

「なんで?学校の中、知っておいた方がいいでしょ?」

「もちろん知りたいよ?
でも、大勢で騒ぎながら廊下を歩いてたら、他の方たちにご迷惑でしょ?
それに、案内は智くんにお願いしてあるから、ね?」

女子たちを避けるように俺に視線を送ってくる

まだ頼まれてはいないけど、そういう事にしておいた方が賢明だな

「あっ、うん…俺が案内するよ
先生にも頼まれたし」

女子たちの視線は痛いけど、変な揉め事が起きるよりはいいだろう

「って事だから、ごめんね」

翔くんがニコッと微笑むと、彼女たちから負のオーラが消えた

その微笑みには、癒しの効果があるのか?

「と言う事で、智くん早速よろしくね」

「へっ?」

翔くんが俺の腕を取り、立ち上がる

「案内して?」

「お、おう…」

若干引きずられるようにして、教室から出た

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