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take a breather

第24章 むかえに行くよ

教室の前にいるのも変だし
取り敢えず廊下を進んで行く

「あの、腕…」

いつまでも解放されない俺の腕…

「ん?」

小首を傾げ俺を見る

くそっ!また可愛いと思っちまった

その表情、何度見ても可愛いじゃねぇか!

男相手に可愛いと思うなんて、何かに負けた気がする…

その『何か』はわかんねぇけど…

「腕…もう離して」

「なんで?」

「なんでって…」

キョトンとするその顔も…

イヤイヤっ違うからっ!
可愛いとか思ってねぇしっ!

「歩きづらいだろ…」

色んな意味で…

廊下ですれ違う奴らは、みんな翔くんを見てる

初めて見る人間という事もあるだろうが
大半の女子は、瞳をキラキラさせて見つめていやがる

そんな奴と腕を組んで歩いているなんて
俺まで注目を集めちまうじゃねぇか

「え〜?そう?歩きづらいかなぁ」

そっちは人に注目される事に慣れているんだろうけどさ
基本目立つ事が嫌いな俺は、出来るだけ大人しく過ごしてきたんだ

それを、ただ腕を組んで歩くという行為だけで、こんなにも人の視線を集めるなんて…

「あれ?おおちゃん」

ふたつ隣の教室から丁度出て来た相葉ちゃんと出くわした

「よぉ…」

「おはよ。おおちゃん、彼女出来たの?」

「は?」

「腕組んでるから、彼女かな?って」

「ちがうしっ!
うちのクラスの転校生!帰国子女だからスキンシップが激しいんだよっ」

「そういえば先生が言ってた、転校生が来るって
へぇ、帰国子女なんだぁ
よろしくね、俺、相葉雅紀」

相葉ちゃんが手を差し出すと、その手を握り返す翔くん

「櫻井翔です、よろしく」

「あれ?男の子?帰国子女じゃないじゃん」

いや…男子でも帰国子女だから…

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