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take a breather

第24章 むかえに行くよ

まさかの俺からのプロポーズ…

いや、まさかじゃないか…

俺の初恋だったんだから、俺から『結婚しよう』って言っていてもおかしくない

『結婚する』と言った俺たちを
何故周りの大人は訂正しなかったのかと、心の中で責めたけど
事の発端は俺が『ショーちゃん』を好きになった事なんだ

1番の被害者は翔くんだよな… 

もし、今でも翔くんがその約束を信じていたら
俺はどうやって翔くんに謝罪すればいい?

このイケメン王子が、今まで恋人を作らずにいた理由が、俺との約束を信じて守っていたからだとしたら…

翔くんの貴重な時間を無駄に過ごさせてしまったんじゃないだろうか

「あの…翔くん…」

「ん?なに?」

しゃがんだままの翔くんが、俺を見上げる

「翔くんは、その約束…ずっと覚えてたのか?」

「もちろん、覚えてたよ?
だって、凄く嬉しかったもん
忘れられる筈ないよ…」

微笑んでるんだけど、悲しそう

嬉しくて忘れられなかったって事は、やっぱり信じてたんだ

翔くんに悲しい顔をさせてしまったのは、俺ってことか…

「ごめん…俺…」

「謝らなくていいよ
子供の頃の口約束なんだから、なんの拘束力もない
智くんは悪くない」

「でも…」

「じゃあさ、また見つけてよ
四つ葉のクローバー…
僕がしあわせになれるように」

そんな物無くったって翔くんならいくらでもしあわせになれる  

こんなに素敵な人なんだから…

でも、翔くんが欲しいと望むなら見つけてあげたい

翔くんの隣にしゃがみ、クローバーを掻き分け四つ葉を探す
翔くんも、俺の手元を一緒に見つめてる

「「あっ!」」

三つ葉に紛れて一本だけ、四つ葉のクローバーを見つけた

「あった…」

「凄い智くんっ!見つけるの、やっぱり上手」

見つけたクローバーの茎を切る

「久しぶりに見つけたなぁ…」

「え?そうなの?」

「うん。多分、小学校の低学年以来」

「へぇ〜、そうなんだ」

「はい、どうぞ」

クローバーを翔くんに差し出した

「ありがとう、大切にするね」

嬉しそうに受け取った翔くん

いい人見つけて、しあわせになって…

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