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take a breather

第24章 むかえに行くよ

「わぁ〜綺麗〜…
あっ、色が変わった」

手元でパチパチと光る花火を見て、はしゃぐ翔くん

花火に照らされた翔くんの笑顔は、一段と輝いて見える

やっぱイケメンだなぁ…
花火をやるだけで、絵になるわ

「どう?初花火」

感想を聞くと笑顔のまま、興奮気味に話す

「凄い綺麗!こんなに細い棒なのに、色は変わるし、火花の散り方も違うなんて、凄い技術だね」

花火の構造まで褒め出した

子供の頃から当たり前にやってたから、なんの不思議もなくやってたけど
よく考えれば確かに凄い技術だよな

火薬の色と配合を考え、それをこんな細い所に詰めて
一瞬の芸術作品を作り出してんだから

夏の風物詩とは言うけど
日本の花火は風情があるよなぁ

「ねぇ智くん、これは?花火なの?」

翔くんが手にしていたのは線香花火

パッと見、他の花火とは違うから
初めて見る人にしてみれば、花火に見えないのかな

「それも花火だよ?
決まり事ではないけど、最後にやる事が多いかな?」

「へぇ〜、そうなんだ…
じゃあ、最後にやろーっと」

手にした花火を戻し、違う花火を手に取る

「うわっ!これ勢いが凄い!
え、え、大丈夫なのっ、これ⁈爆発しない?」

ちょっと太めの花火を選んだせいで、火花の出方は派手だけど
俺からすれば至って普通の花火

それをビビリながらやってる翔くんが可愛い

「大丈夫だけど、怖いなら代るよ?」

「うんっ、智くん代わってっ」

焦ってる翔くんが可哀想で、急いで花火を受け取りに行く

右手に持つ花火を右手で受け取ろうと、翔くんの背後から近付いた

「あ…」

翔くんの小さな声

急いで花火を受け取ってやろうとしたら
翔くんの手を一緒に握ってしまった

翔くんが花火から手を離せない

「ごめん。もうすぐ終わるから、このままで大丈夫?
怖いなら、バケツに入れちゃうけど」

「ううん…智くんが一緒にやってくれるなら大丈夫…」

すぐ隣にある翔くんの顔が、ほのかに紅く染まる

はにかむ笑顔が、花火以上に眩しく見えた

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