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take a breather

第24章 むかえに行くよ

「あとは線香花火だけだね」

5本の線香花火をニノが持つ

「競争する?」

その内の一本を松潤が取った

「もちろんするでしょ〜」

相葉ちゃんも一本取る

「競争?」

首を傾げる翔くんに、ニノから受け取った花火を一本差し出した

「誰が1番最後まで玉が落ちないか、競うんだよ?」

「玉?花火なのに?」

「そう…この花火はこうやって下を向けて持つんだ」

翔くんに線香花火の持ち方を教える

「へぇ〜」

「何段階か火花の散り方が変わるんだけど
最後に火の玉が出来る
それを出来るだけ長く落とさないでいられた人の勝ち
わかった?」

「うんっ、わかった」

「よっしゃ、始めるか」

松潤の声で5本の線香花火がろうそくの上に垂らされる

「レディー…ゴー!」

5本一斉に点火する

「うわぁ…これも綺麗…」

翔くんの感嘆の声

「ちっちゃいけど、日本の花火の代表格だよな」

さっきまで大はしゃぎしていた5人が
輪になってしゃがみ込み、しみじみと手元を見ている

落ち着いた気持ちにさせてくれるのも、線香花火のいい所…

「あ…落ちちゃった…」

その声に目をやれば、哀しそうに地面を見つめる翔くんの姿…

「一緒に持つ?」

つい口を突いて出た言葉

「いいの?」

「いいよ?落ちちゃうからそっとね?」

「うん…」

遠慮気味に花火を掴んだ翔くんの手が
俺の手に少しだけ触れ、ドキッとした

「がんばれ…」

真剣に玉を見つめ、小さな声援を送る翔くん…
胸の辺りがムズムズする

「「あ…」」

ふたりの声が重なった

「落ちちゃった…」

「仕方ないよ、いつまでも落ちない玉はないんだから
花火は散るからこその風情だよ」

「うん…そうだね…
初めてやったけど、楽しかった」

微笑んだ翔くんも、花火のように儚げで綺麗だった

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