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take a breather

第24章 むかえに行くよ

「そう…だって俺は、今の事しか考えてねぇもん
雅紀とニノに、しあわせになって貰いたいと思ったよ?
でもそれって、今の事であって
ふたりの将来の事まで考えてはない
翔くんの事もそう…
もし付き合えたとしても、今が楽しけりゃ良いじゃんって感じで、先の事なんて考えてない」

「お前っ、そんな軽い気持ちで翔くんとの事考えてたのか?
お前が本気なら俺は…」

翔くんの事、任せてもいいと思ったのに…

「軽いよ?だって俺たちまだ高校生だぞ?
普通、こんなもんだろ
付き合う相手との将来なんて考えないよ
でも智は違うんだよな?
もっと真剣に…翔くんの先のしあわせまで考えてる
その時点で俺よりも相応しいと思うけど?」

「だって…翔くんは俺とした結婚の約束を忘れてなかったんだ…
そりゃ、先の事まで考えるだろ」

「へぇー、ふたりがした約束って結婚の約束だったんだぁ」

「あっ、いやっ、その…子供の頃の話だから…」

うっかり口が滑っちまった…

「なるほどな?ビビったって訳か…
翔くんと付き合ったら、最後まで責任取らなきゃいけないって」

「ビビってるとかじゃないよっ
本当に、自分が翔くんに相応しくないと思ってるだけで」

「なら、相応しい人間になったらいいんじゃね?」

「えっ?」

翔くんに相応しい人間?

「だからぁ…俺たちはまだ高校生だぞ?
いくらでも可能性は持ってる
翔くんの事が好きで、翔くんのしあわせを願ってて
俺の軽い考えが気に入らないって言うなら
智が思う『翔くんに相応しい人物』に自分がなればいいだろ?
翔くんが智の事好きなんだから、それが最善策だろ?」

「あ…」

まだこれからでも間に合う?

俺が翔くんをしあわせに出来る?
翔くんに相応しい人間になれる?

「考えてみれば?
今の智は、しあわせどころか翔くんを哀しませてるだけだからさ」

「…おう」

翔くんに哀しい顔なんてさせたくない、よな…

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