テキストサイズ

take a breather

第25章 P・A・R・A・D・O・X

「でも、すぐに行動には移せない…
俺も一応教師として、生徒を無事卒業まで導かないといけないから
ましてや、櫻井くんは優秀な生徒だ
在学中に絶対に間違いを起こしちゃいけないと思った」

先生と生徒…しかも男同士の恋愛なんて
学校にバレたら、すぐに退学処分の可能性だってある

「だから慎重に行動してた
櫻井くんの気持ちが俺に向いたとわかってからも
教師と生徒という立場を崩さないように
俺の想いを伝えるのは、櫻井くんが卒業してからだって決めてた」

「俺が大野先生を好きな事、気付いてた?」

先生はそんな素振り見せた事なかったのに

「うん、気付いてた…
好きな人の事だし
何よりも櫻井くんは、感情が瞳に出るからわかりやすい」

「あ…」

それってこの事も含めてなんだ

「正直、かなりしんどかったよ
好きな子が、自分を好きでいてくれるのに何も出来ないんだから
早く時が流れてくれとさえ思った事もある…
でも櫻井くんの貴重な青春時代だからね
俺が無駄に過ごしてしまった分
存分に楽しんで貰いたいという思いの方が強かった
だったら、俺も櫻井くんと一緒に青春時代を味わえばいい、って考えたんだ」

「楽しめました?」

「楽しめたよ?
放課後、ほぼ毎日、好きな人とふたりきりで過ごせるんだから
学生時代には出来なかった事だ」

優しく微笑み見つめてくる大野先生に、胸がキュンとする

ストーリーメニュー

TOPTOPへ