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take a breather

第26章 君のために僕がいる

俺たちのプライベートの関係を知る者は社内にはいない
共に同じ会社で働く両方の身内ぐらいだ

日本の社会において、同性のカップルはまだ受け入れ難いのが現状

昔に比べ、だいぶ認められる存在となりつつあるが
それでも年齢が上がれば上がる程、いい顔をしない人たちが増えてくる

ウチの親や翔の親は極めて稀な存在

頭の堅い年寄りにはきっと理解出来ない
『なんで男が男を好きになる必要があるんだ?胸もない体に何の魅力があるんだ?』と…

エロじじいが…何もわかってない

胸なんかなくったって、最高の快楽を与えてくれるのに

体だけじゃない…

清らかな心を持ち、俺の心を癒してくれる
誰よりも何よりも愛しい存在…

「翔…本当にそろそろ動き出さないと、朝食抜きになっちゃうよ?」

腕の中のその人物に声を掛ける

「ん…」

俺に抱きついていた腕を緩め、名残惜しそうにゆっくりと離れていく

いくつになっても可愛いなぁ…

これでもうすぐ30歳だなんて信じられないよ

それ以上に信じられないのは、翔の仕事ぶりなんだけど…

こんなに可愛いのに
プライベートの部屋から一歩外に出れば、やり手の副社長の顔になる

しかも外だと、ふたりきりになってもそのスタンスを崩す事はほぼ無い

完全にオンオフの切り替えが出来るんだと感心してたら、その逆で…

外に出て一度でも崩してしまうと、元に戻す事が出来なくなりそうだから、なんだって

だから俺もその邪魔をしないように、外では完璧な秘書でいることを心掛けている

その代わり、仕事が終わって家に帰って来た時は、オモクソ甘やかしてやるんだけどね

今日も一日お疲れ様、の意味も込めて…

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