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take a breather

第26章 君のために僕がいる

翔と俺は昨日からアメリカのホテルに滞在している

プライベートではなく、仕事として来ているんだけど
せっかくふたりでアメリカに行くんだから、それなりに楽しもうと
ホテルは、俺が自費で手配した

昨夜、盛り上がってしまったのは
俺が部屋の雰囲気に負けて、抑えられなかったから

翔を起こす前に部屋に届けられた朝食

「少し冷めちゃったかな?」

「ごめんね、僕が起きなかったから…」

隣に座った翔が、眉毛を下げ俺を見る

「気にすんな。起きられない原因を作ったのは俺なんだから」

翔の肩に手を回し、髪にキスする

「でも…せっかく温かい食事用意して貰ったのに…」

「なら、これ以上冷めないように早く食おう?なっ?」

ニコッと笑い掛けると、翔もニコッと笑い返してくれる

「うんっ」

フレンチトースをメインに、スクランブルエッグとウィンナーとサラダ
翔が好きなフルーツとヨーグルトも勿論用意した

それらを綺麗に平らげた翔

「美味しかった〜」

カフェオレを飲みながら満足そうに微笑む

「よかった。パンケーキとどっちにするか迷ったんだけど
フレンチトーストでよかった?」

「うんっ、よかった
智くんが選んでくれるものに間違いはないよ?」

確かにダメ出しされた事はないけど
それって、翔が俺に甘すぎるからだと思う

俺だけじゃない、翔は誰に対しても甘い、というか優しい

部下たちにも頭ごなしにダメ出しはしない
現場の人間の話を聞き、お互いが意見交換しやすい環境で話し合う

そうする事で社員たちの士気が上がり、会社全体の雰囲気も良くなる

仕事も出来て、人に気遣いも出来て
多くの人間から尊敬の眼差しで見られる翔

俺もそんな翔を尊敬し、隣に立つに相応しい人物であり続けようと、日夜努力を続けてる

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