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take a breather

第26章 君のために僕がいる

「さ、着替えて行くか」

「うん、そうだね」

今回のアメリカ訪問の目的は大きく3つある

ひとつ目はアメリカ支社の視察

翔は、来月からアメリカの支社で働く事になる
勿論、俺もついてくるけど…

その前に、どんな所か一度様子を見に来た

翔のオヤジさん…今の社長もそうしたように
翔はこちらで仕事を学ぶのと同時に、こちらの取引先との親交を深める役割を担う

目的のふたつ目は、まさにそれで
取引先の中の一社が創立30周年を迎え、記念パーティーを開催する

社長がアメリカにいた時に親しくしていた方だそうで
そのパーティーの招待状が社長宛てに送られて来た

しかし、社長がどうしても時間が取れないと言い、翔に代理を頼んだ

翔自身もその息子とクラスメイトで、結構仲良くしていたみたいだ
パーティーに参加する事を喜んで引き受けてた

そして三つ目が、こちらでの住処を探す事

人に任せるんじゃなく、ふたりで探したい
と、言うか…
ふたりで住むから、他の人に頼めないってのが実際の所

秘書とはいえ、副社長と一緒に住むなんて
なくはないかも知れないが、日本ではあまり聞かない

それに寝室はひとつでいいんだし?

今日のスケジュールは、昼間会社に顔を出して、夜にはパーティーに参加

そして明日は物件探しをして
明後日には帰国する予定だ

「では参りますか、副社長」

ドアを開け、翔を廊下へと促す

「あぁ」

部屋から一歩外に出た翔は、副社長の顔になっていた

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