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take a breather

第26章 君のために僕がいる

パーティー会場に着いてからは、翔の隣に並ぶ事は出来ない
あくまでも主人に従う秘書という立場で出席してるから

少し不服そうな翔

「そんな顔しないでください
お祝いの席なんですから」

小さな声で話し掛ける

「折角のパーティーだから、智くんと楽しみたいのにぃ…」

日本語で話してるから、周りの人たちには何を話してるか理解出来ないだろうが
外で…しかも仕事の関係者のいる場所でこの会話はよろしくない
『智くん』呼びしちゃってるし

翔にしては珍しく、いつものスタンスを崩しかけてる
出掛けのキスが悪かったかなぁ…
異国の地で、昨日からハメ外し気味だしな

「副社長、気を緩め過ぎです
パーティーとはいえ、お仕事なんですよ?」

少しだけ翔に注意すると、シュンとしてしまった

主人に怒られた愛犬…

そんな姿見せられたら、つい俺だって甘やかしたくなる

翔の背後からギリ聞こえるくらいの声で伝える

「先方に挨拶済ませてからなら、自由にしていいから」

日本でのこういった席では、あちこちと多くの人に挨拶をして回らなきゃいけないが

立食パーティーだし、翔の事を知る人間は殆どいない
主催者に挨拶さえしてしまえば、後は好きに過ごしても問題はないだろう

「うんっ、わかった」

翔の顔に笑顔が戻った

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