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take a breather

第26章 君のために僕がいる

トーマはすぐに表情を元に戻した

翔は俺を見ていたから、トーマの顔は見ていない

トーマが俺の前に歩み寄り
笑顔で握手を求めて来たから、その手を握り返す

「はじめまして、サトシ
ショウから話は聞いていたよ
ショウの想い人だって言うから、どれ程の人物かと思ったけど…
フッ…ショウよりも背が低いんだな
随分と可愛らしい…」

握ってる手にグッと力が込められた

「っ!」

イてぇじゃねぇかっ、チクショー!

言い返してやりたいが
トーマは長身でイケメン…
内面はわからんが、見た目では非の打ちどころがない

俺とトーマ、どちらか1人イイ男を選べと言われたら、多くの人がトーマを選ぶだろう

でも、翔は俺を選んだんだ
だからゼッテェお前に翔は渡さねぇ

「選り取り見取りなクセに
こんなちんちくりんなヤツを選ぶんだから
ホント変わりモンですよね、翔って…
でもこんな素敵な人に愛して貰えてるんですからね
俺はとても幸運ですよ」

ニコッと笑って
強く握られた手を、更に強い力で握り返した

トーマは、苦虫を噛み潰したような顔をすると、俺の手を振り払うように離した

「智くん?トーマ?」

俺たちの間でやり取りを見ている翔は困惑気味

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