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take a breather

第26章 君のために僕がいる

『ショウ、久しぶりの再会なんだ
場所を変えてゆっくりと話さないか?
ふたりきりで』

『トーマはお客様に挨拶しなくちゃ駄目でしょ?
次期社長なんだから』

『大丈夫。俺にとって、ショウが1番大切なお客様だから
さ、行こう?』

トーマはショウの腰に手を添え、歩きを促す

『え?でも…』

チラチラと俺に視線を送る翔
トーマの想いにようやく気が付いた?

翔の肩に腕を回し、トーマから翔を奪い取る

『すみません。副社長はこれから別の予定が入ってますので、これで失礼させていただきます』

『本当なの?ショウ』

俺を睨みつけながら翔に確認するトーマ

『あ、うん…』

本当は予定なんてないけど、そうでも言わないと翔を連れて行かれるからな

『はぁ…予定があるなら仕方ないな
ショウも短期滞在で色々やることがあるんだろうし』

『ごめんね、トーマ』

『ああ、またな?』

トーマは苦笑いで別れを告げ、他の客へと挨拶に向かった 

「ふぅ…危なかったぁ…」

思わず溜息が漏れる

「智くん…」

不安そうな顔で俺を見る翔に、笑顔を見せた

「知らなかったの?トーマの気持ち」

「うん…トーマは、僕が他の人から誘いを受けて困っていると、いつも助けてくれてたから…
良い友達としか思ってなかった…」

「そっか…でも良かったよ」

「え?」

「翔がこっちにいる頃に、アイツの気持ちに気付いてたら
もしかすると翔はアイツを好きになってたかもしれないだろ?
見た目はイイ男だもんな?」

「ふふっ、それはないよ
僕が好きになるのは、智くんだけだもん」

そう言って微笑む翔が愛しくて…

「旨いもの食いたかったけど
約束果たしにホテルに戻るか」

翔の耳元でそう囁くと、頬をピンクに染めた翔が小さく頷いた

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