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take a breather

第4章 途中下車

「へぇ〜」

「なんだよ…」

「アイツの時とは大違いだなと思って」

ニヤっと笑う二宮さん

「アイツは勝手に付いて来ただけだって言ってるだろ?」

「で、このかわい子ちゃんは大野さんが連れて来たくて連れて来たと…」

かわい子ちゃん?俺が?
二宮さんに言われるとからかわれてるとしか…

「そうだよ、悪いか」

「いやいや悪くないですよ?
おふたりの雰囲気もいい感じだし?」

雰囲気がいい?

イヤイヤ、そういう意味じゃないから…
そういう意味ってどういう意味?

期待しちゃダメだよ…
期待って何を?

頭の中で自問自答を繰り返す

「こんにちは〜」

勢いよくドアが開き、入って来たひとりの男性。

「雅紀?」

「お、来たか」

「あれ?大野さん、と翔ちゃんも来てたんだ」

「なんで雅紀が?」

「ん?俺ここの常連
ねぇ、カズさん」

「一応な」

「一応って…毎日来てるのに…」

「だから一応認めてんだろ?
何か不服?不服なら来なくていいよ」

「いやっ!一応でいい!いいから来させてっ」

必死に取り繕う雅紀
よっぽどお気に入りなんだ、この店

「わかりゃあいいんだよ
ほら、ちょっと待っとけ」

二宮さんはカウンター席へお冷を出すと、すぐさま調理にかかった。

「あの…」

「ん、なに?」

「大野さんがはじめに連れてきたのって雅紀なんですか?」

「あぁ〜、そう。
この店あまり席ないからさ、いつも一人で来てたんだけど
昼に俺が外に出るの見かけて付いてきたんだよ
『一緒にランチしましょう』って
アイツ人懐っこいからさ、断るに断れなくて連れてきた」

「そうだったんですね…」

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