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take a breather

第4章 途中下車

「さあ、あったかい内に食おうぜ
とろとろの卵が美味いんだから」

大野さんがスプーンでオムレツに切り込みを入れると、とろっと卵が流れ出す

「ほれ、櫻井も早く食えよ」

「あ、はい…いただきます」

大野さんと同じように卵を崩すとスプーンで掬い口に入れる

「うまっ!」

想像以上の美味しさに思わず声を上げてしまった

「だから美味いって言っただろ?」

「はいっ、凄く美味しいです」

美味しくてひたすら食べ進めていたら、ふと大野さんの手が止まっていることに気がついた。

視線を上げ大野さんを見ると、バチっと目が合った

嬉しそうに微笑んでる大野さん

「あ、の…なにか?」

「いや、すっげぇ美味そうに食ってるからさ、見入っちゃったよ…
櫻井の食べ方って、リスが餌食べてるみたい」

「リ…リス⁈」

なぜそんな小動物…

「おう。口一杯に頬張ってるからさ
頬袋でもあんのかな、って」

「あっ、ありません、そんなのっ」

「ははっ、だよな。ごめん、邪魔した。
可愛かったからつい、な…」

また可愛いって…
大野さんから見ると俺って子供なんだろうか…

大野さんは仕事も出来るし、落ち着いてるし

童顔だから見た目は俺と同じ年くらいに見えるけど、中身は比べ物にならないくらい大人の男性なんだ。

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