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take a breather

第26章 君のために僕がいる

四つ葉をくるくると回しながら嬉しそうに見つめる翔

「翔…」

「ん?なあに?」

翔が視線を上げ、俺を見る

「まだ話してなかったけど
来週、社長から正式に辞令が出る」

「アメリカ行きのでしょ?」

「そう。それともう一つ」

「え?なに?僕が知らされてない事?」

翔が社長から聞かされているのは、来月からアメリカに赴任するということだけ…

俺と社長…いや、俺と翔の父親で交わされた話はまだ知らない

「あぁ。翔は来年、副社長を解任される」

「え⁈なんで⁈」

翔が驚きの声を上げた
そりゃそうだよな
仕事ぶりは何も問題ないのに、いきなり解任なんだから

「来年、アメリカの支社長が引退されるのは知ってるだろ?」

「うん…」

不安そうな瞳で俺を見つめる翔

「翔はアメリカの支社長になり
アメリカに永住する事になる」

「永住?日本に戻って来られないの?」

「うん…会社は、弟の修くんに継いでもらう」

「どうして…」

「翔、勘違いするなよ?
これは、俺が社長に提案した事だから…
翔に問題がある訳じゃない」

「智くんが⁈智くんが父さんに頼んだの?
なんでそんな事…」

「翔と…結婚する為」

翔の目が大きく見開いた

「け…こん?」

「そう…結婚
アメリカなら同性婚が認められている」

「その為にアメリカの支社長に?」

俺は頷いてみせた

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