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take a breather

第27章 Turning Up

しばらくすると、ニノは僕の事なんてそっちのけで潤くんとの会話を楽しんでいた

何が失恋パーティーだよ
結局、自分が潤くんと会いたかっただけじゃん

「智さん、誰か呼びますか?」

翔くんが小さな声で話しかけてくる

「え?なんで?」

「和さんが潤さんを独り占めしているので
智さん、退屈してるんじゃないかと思いまして」

「あ〜、大丈夫。気にしないで?
僕、あんまり得意じゃないんだよね、こういう所で働くような人」

「すみません…」

「あっ!翔くんは違うからね?
潤くんとか、ケンティーくんみたいにギラギラしてる人がダメなの
僕、派手好きじゃないから
あのふたりは見た目がもう派手じゃん?」

「この店のNo.1、No.2ですからね
theホストって感じのおふたりです
見た目もカッコいいし
お話も上手で、お客さまを楽しませていらっしゃる」

「確かに口は上手そうだけど、僕は逆にそれがダメ
表だけいい顔してんじゃないの?って信用ならない」

「…わかります」

翔くんが視線を伏せ、暗い表情になる

「何かあった?」

「え?」

「今、凄く哀しそうな表情したから…
口の上手い人と、何かあったのかな、って」

「あっ!あのふたりがって事ではないんです!」

ハッとしたように、慌てて否定した後、翔くんは自嘲気味に微笑んだ

「…ただ、中学の時にちょっと…
俺のせいで、友達を傷つけてしまいました…」

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